Troy Lee の歴史

皆さんの大好きなデザインブランドの Troy Lee Designs ですが、先日から眺めていたリザルト解析集

これを見ていたワケじゃないけどアタシが見てたのは紙媒体なのでこちらで代用
Flat Track 2008 AMA Pro Racing Rulebooks

(製作・発行はクールベスさんちの誰か、多分トーチャンかニーチャン)を眺めていると Troy Lee の名前が出てくるんですよ。でも、Troy Lee がフラットトラックで活躍してたなんて聞かないしなあ、と思って、ロジャーに聞いたら下のページを教えてもらいましたよ。

More about Troy

Where did I come from and where did my passion for racing come from? Well, I guess I should start right at the beginning. The year was 1961 and my mother, Linda, was pregnant with me. She and my father, Larry, were at Ascot Park watching a dirt track national. From what my dad tells me, that night, the current National Champion, Troy Lee, won the main event. On the way home, he said to my mom, "Troy Lee, that has a cool ring to it". And so it was. I was named at the races.

ということで、TLDの Troy Lee と GNC ライダーの Troy Lee は別人28号ですよ。後の Troy Lee をご懐妊中のリンダさんをアスコットパークに連れてったレースで Troy Lee がかっこいいもんだから Larry さん、子供の名前は Troy Lee で決まりね、てなことになっちゃったらしいんですが、そのレースの詳細がよくわからない。

確かに '60 の GNC で Troy Lee はスプリングフィールドで1勝して、GNC ランキング 4 位になってはいますが、 '61 のナショナルでは# 1 は付けていないはず。 4 位ですからね。ではカリフォルニアで 1 番なのかと言うとジョー・レオナルドが 2 位にいたりして CA でも 2 位なんですな。だから CA の 1 番でもないんですよ。

で、翌年の GNC では ASCOT は出てこないんですよ。GNC としては '84 の一回だけ。あ、ホットシューとか?違うなあ。全文検索しても 9/21/84 Ascot, CA TT Steeplechase しか出てこないんだよな。ってことは GNC ではなかったとか?TLの両親が見に行った「 were at Ascot Park watching a dirt track national 」ってのはナンなんだよー!!


AMA Flat Track Championship Annual Results 1960
Date Location Event Winner Mach.
March 13 Daytona Beach, FL Road Race Brad Andres, San Diego, CA Harley-Davidson
June 19 Laconia, NH Road Race Dick Mann, El Sobrante, CA BSA
July 3 Schererville, IN Half-mile Carroll Resweber, Cedarburg, WI Harley-Davidson
July 17 Sacramento, CA Mile Everett Brashear, Beaumont, TX Harley-Davidson
July 23 Gardena, CA Half-mile Al Gunter, Los Angeles, CA BSA
July 31 Phoenix, AZ Mile Carroll Resweber, Cedarburg, WI Harley-Davidson
Aug. 7 Heidelberg, PA Half-mile Carroll Resweber, Cedarburg, WI Harley-Davidson
Aug. 14 Watkins Glen, NY Road Race Brad Andres, San Diego, CA Harley-Davidson
Aug. 21 Springfield, IL Mile Troy Lee, Oceanside, CA Harley-Davidson
Aug. 28 Peoria, IL TT Joe Leonard, San Jose, CA Harley-Davidson
Aug. 28 Peoria, IL TT Bart Markel, Flint, MI Harley-Davidson

1960 Grand National Standings

Pos. Name, hometown Points
1 Carroll Resweber, Cedarburg, WI 49
2 Joe Leonard, San Jose, CA 45
3 Bart Markel, Flint, MI 35
4 Troy Lee, Oceanside, CA 26
5 Dick Mann, El Sobrante, CA 25
6 Brad Andres, San Diego, CA 18
6 Everett Brashear, Beaumont, TX 18
8 Al Gunter, Los Angeles, CA 15
9 Stuart Morley, Los Angeles, CA 11
10 Sammy Tanner, Los Angeles, CA 9

 

松本兄とアリーさんの攻防

0810191565www.flickr.com

この状態で約3周、兄はアリーさんのインにプレッシャーを与え続けたんですな。ナニしろ前も横も制限されているのでこれ以上はらむことも前に出ることも許されない。接触してしまえば転倒してしまうこともあるわけで。そうやって6回、イン側からのプレッシャーでアリーさんを攻め続けた兄はついに4ターン立ち上がりでアリーさんをアウトによせ、ストレートで並ぶと7回目のアタックで1ターンインの奪取を決めることになります。

ダートトラックだから接触はアタリマエなんて意見もあるんでしょうけど、接触なしに抜くこともできるいい例です。兄がアリーさんのラインに活路を見つけてねばり強くプレッシャーをかけ続ける、接触することも離されることもなく進入時はぴったりと横に付け続ける。長い時間多くの回数、先行するライダーに合わせてラインとスピード、車体の姿勢を制御し続けることは簡単じゃありません。それだけにすばらしいレースでした。

二幅、三幅 
先頭を走るライダーは自分のスタイルで自分のラインを走れば一番良いわけですが、二番目以降のライダーが前にいるライダーを抜くにはそれなりに条件が整わないことには、気持ちだけ速くても叶いません。

絶対的な条件として前を行くライダーよりも速いこと。どんなに抜きたい気持ちが強くてもバイクとライダーが総合して前を行くライダーよりも速くなくては抜くことができません。

そしてダートトラックってのはイン側をきちんと締められるととても抜きにくい。だからいくら速くても抜けないことがあります。相手のラインをずらすには相手に合わせてターンの前に位置取りをする必要があります。ロードレースのように後輪出力が大きくて路面のミューが高ければラインをクロスさせて、なんて事もやりやすいのですが、ダートトラックの、殊にXR100ではそうも行きません。一車長も後に行ってしまうと取り返すのが大変でなかなか思った位置取りができない。ダートトラックレースの場合追い抜きの先行動作として、内側の位置取りをすべくツーワイド、スリーワイド(200mトラックのXR100だとないか)てなことになるんですな。

ツーワイド、スリーワイドってのはお互いに技術があって信頼関係が築けていないと成立しないんです。いつでも後ろから来るライダーの衝突に気を遣っていられますか?

並んでからの接触ってのはの路面状況や向き換えのタイミングで起こるから仕方ないんですが、これがラインが違うとかスピードが違うとかだと、接触じゃなくて衝突になっちゃう。後から行くライダーは前を見てタイミングをとっているからいいようなものでしょうけど、先行するライダーには衝突のタイミングも向きもわからないんですから、想定外の方向に車体を振られると転倒に繋がりますよ。

ターンへの進入で、ストレートへの立ち上がりでスライドすることで向き換えとスピードを変化させているその瞬間に他のライダーからの衝突に備えるなんてことできますか。仮にハンドルやフロントタイヤを引っかけられたら、車体のど真ん中にフロントタイヤを突っ込まれたら、それでもそのままで走り続けられます?もしそれを要求されるようだと普通のヒトは一歩引きますよ。

反対に、追い上げていくライダーにとっても、意図しない接触はそれ以上に危険な状態を作り出します。進入での速度やラインを前走者に合わせずに突っ込んでいくと、大方フロントタイヤを前走者のリアタイヤや車体に接触させることでステアリングのコントロールを失うことになります。この後は転倒へのステップを踏むことになるわけで、いいことはなにもありません。かろうじて転ばなくてもスピードを落としていたりしてレース的にはぐだぐだになりますな。

そうそう、こうやってツーワイドでのレースが頻繁に行われるのも安定した路面を作ってくれるもてぎのスタッフがいるからです。もしも荒れた路面だとお互いにどこに飛ばされるかわからないから距離を取らざるを得ないでしょ。もてぎみたいに天候の不安定なところであの路面を維持するってのはかなり難しいんだと思いますよ。アタシはしばらくやってないので偉そうなこと言えませんけど。

そういうわけで接触無しでもレースは成立します、って話です。

これでいいのか!!ノービス250

あー、えーといろいろ書きたいことがあるんですが、まずはよく転ぶ方へ。

「あー?そんな昔のこと忘れちゃったよ」ってかたはこちらを観てから

ziziさん編集のビデオ

転ばないでください 
転ぶと勝てませんよ。転んでも復帰できるのはもてぎのお情けです。復帰できるまで待ってくれるのは決して安くない金額をいただいちゃっている手前最後まで走らせてあげたいっていう仏心からですよ。ルールにあるからじゃありません。その前に気持ちがあって、ルールという実体になっているに過ぎません。

転ぶとレースがだれるのと、スケジュールが押すのと、転ばないライダーに迷惑なのと、後続のライダーが巻き込まれて迷惑なのと、マシンが壊れるのと、スタッフの手間が増えるのと、直後のクラス(具体的にはEXOPN)マシンとライダーに迷惑なのと、けが人が出るのと、けがをすると本人が大変だし家族はもっと大変だしメディカルの仕事が増えるし共済が使われて掛け金が高くなるし、まあそのほかとにかくナニもいいことがないので転ばないでください。そんなこと知ってるって?知ってて当然です。

転んでいる状態を思い出すだけでソートー嫌なものが込み上げてきます。怒っています。ムキィィィィィィィ!!!!!

どうするのか 
転ぶライダーは準備不足なことがあります。具体的にはまずファイナルをショートで合わせててください。これでリアタイヤを回しすぎてオーバーステアスリップダウンすることが少なくなります。他にもありますがそれは他の人に聞いてください。

十分な準備をした上で転ぶと言うことであれば練習が必要です。それはどこか別の場所ではなくて、もてぎの200mトラックで、ひとりではなく外側や内側にライダーを置いて制限練習をしてください。ひとりで練習してもレースでは走れないことが多いと思います。日曜日のレースではJr100の松本兄選手がとてもいいお手本です。あんなにできたらエキスパートで勝てますけど。

というわけで、レースを楽しむのであればレース前日に行われる特別スポーツ走行に行くといいですよ。ご存じですか、そうですか。では行きましょう。もてぎのスタッフのみなさんもせっかく用意して待っていてくれてるんですから。

そんなに走りにいけないよ、って。それでもやることは山のようにあります。 アタシの撮っている写真はそのためのものです。あなたと誰かを比べるために撮っています。ご自身のライディングにうっとりするのも結構ですが、それだけではなく誰かとあなたを比べてください。そこにヒントがあります。

レースは本気でやるから面白い 
いえね、転ぶヤツは本気でやってない、とか言うつもりはありませんよ。それは本人の感じるところであってアタシの関知するところじゃありませんから。ただね、ノービスのうちから「一か八か」なんてレースをするものじゃありませんよ。それは本気でやっていても方向が違ってます。

勝つためには転んでも仕方がないところまで踏み込む、のではなくて、転ばなくても出せる成績をちょっとずつ上げていくことが重要です。でないと、いくつ体があっても足りませんよ。ダートトラックってのは低ミュー路面のおかげで50歳くらいまで現役で、しかもトップカテゴリで戦える数少ないスピード系競技です。だからゆっくりと成長していけばいいんです。

まあ、あれですよ。いつもの「転んではいけない」の焼き直しなので始めて読む人以外はスルーな方向でも結構です。じゃあ、書かなきゃいいんですがジジイなのでその辺は仕方ありません。

このままトップ3に勝たせちゃっていいのかな? 
俺は転ばないよー、ってあなたにも言いたいことがあります。

林、後藤、遠藤の三選手がレースに出続けると他の人が勝たない可能性がありそうです。他の選手は来年まで昇格を狙っていないんでしょうか。

今回勝った林選手は練習も来てませんし、尾てい骨にヒビをいれて、半月板を切って、その上○○してるのに、それでも危なげなく勝つワケですよ。

そういうことでいいんですかね。仮に上の三選手がシリーズ優勝しても「他の二人を抑えれば勝てると思ってました」なんてコメントを聞くことになりますよ。

速いとかうまいとかってのは他の選手にだっていえることなんですが勝つには他にも必要なものがあるんですよ。十分な準備ってのはそういうのも入ってるんですが、中身は知りません。むかし、えらーいライダーが「グリッドにつく前に勝負は決まってる」と言っていたことを思い出します。

ちょっと矛盾するようですが……

特に今回、後藤選手はいろいろあって、それでもあきらめないでがんばっただけにその辺の××を是非身につけていただきたいと思います。××ってのはもったいぶって書きません。悪しからず。

医者もビックリ

WPFTRS-BBS

栃木県壬生町 獨協医科大学病院ICUに入院中の吉田潤選手ですが、本日14日よりリハビリを開始する事になりました。

開眼 吉田選手の状況

KDPA Blog

昨日、もてぎで保管していた吉田潤選手の貴重品や携帯電話を自宅まで届けお話を伺って来ました。
現在、吉田選手のお母さんは江東区~栃木県壬生町を毎日電車で通っておられます。
10月5日の状態は
1)目を見開き、キョロキョロ見回す事が出来る様になった
2)話しかけると表情が変化、手を握り返したりしゃべろうとする(喉にチューブが入っており声は出ない)
とのことでした。

詳しくは開眼にて。

一安心ですな。

報告 - tadashi natsume 吉田選手の状況

wpftrs

先ほど、吉田選手のお母さんから電話をいただきました。 状況ですが、まだ目を覚ましてはいないものの、「血の塊」が大きくなっていないこと。

身体の状態が安定してきていること。

この2つを教えていただきました。

みなさんにお願いがあります。病院への訪問、問い合わせなどはしばらく控えてくださいます様お願いします。

現在 吉田選手のお母さんが1人で全てをこなしておられます。 多忙な今、訪問された方への対応までは手が回りかねます。

真に勝手ながら、よろしくお願いいたします。

お知らせ@KDPA-BBS 吉田潤選手負傷

WPFTRS BBS より転載

9月28日、もてぎダートトラックオールスターエキシビジョンレースにて、#80吉田潤選手が400mトラック第2ターンにて単独転倒、負傷しました。 現在、栃木県壬生町 獨協医科大学病院で治療を受けています。 16:50分、コントロールを失った吉田選手のマシンは壁に衝突。 17:10ヘリ搬送開始。 13分後に獨協医大救命センターに到着しました。 もてぎスタッフ、メディカルの皆さん。ヘリ手配をして下さったmoto-GP医師団の皆さん。 夕刻で飛べるかギリギリだった中 搬送してくれたホンダ航空の皆さん。ありがとうございました。

吉田選手のお母さんから伝言を頼まれました。「盛り上げなければならないこの様な大会で大変な事をしてしまい、申し訳ありません。息子は現在(29日17:00時点)意識が戻りません。本日CT撮影を行いました。明日、また検査です。」 とのお話でした。前頭葉部分に出血があり、現在集中治療室に入っています。

※心配していただいて居る方々のために、と吉田選手のお母さんに許可をいただき書いています。

とのこと。コメントはKDPAのBBSへ。

GNCで勝つ日本人

しばらく忘れていたことがありましてね。「GNCで勝つ日本人を見たい」というモノなのですが、だいぶスレタというか萎んだというか、あるいは夢が小さくなったのか既存の枠組みの中でどうあるべきかなんて思うようになってたんじゃないかな?

「やっぱり25周でしょ?」って言われると、そんなに有ってもなぁ12周でいいか、なんて思っていたんですが訳を聞くと「GNCだってアマチュアナショナルだって25周でしょ?」って。で数秒かかって思い出したんですね。そういえば以前そう思っていたなって。

いつも駄文を垂れ流しているんですがその源流にあるのは、GNCで勝つ日本人を見たい、なワケですよ。ずいぶんと忘れてましたけど。年寄りぶるつもりもないですけど若い人の言うことは昔の自分に言われているようでかなり突き刺さりますな。

というわけで改めて目標を。

30年後までに日本からGNCチャンピオンを輩出する

というわけで、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

つくばからの福音 The Holy Speedway.

文字通り門を叩いて開いた話なんですが、既にご存じのことと思います。えー、某書からの引用は、揶揄してんのか?コラッと怒られそうなのでこれくらいにしますが。

さて、つくばの面々、非常にがんばっております。そこで皆さんにもご協力をお願いしたいと思います。ナニを協力して欲しいのかというのは、いずれメンバーの募集があるでしょうから、ぜひ応募して欲しい、組織ができていく過程を楽しんで欲しいんですよ。できあがったものに乗っかるのではなくて一緒に作っていく。仮に乗り遅れてある程度できあがってから入るときにでも、入り口に迷わないような大きな門が建つはずなのでそこから入っていってもらえればいいかと思います。

AMAというロールモデル 
現在日本国内で行われているダートトラックはAMAのフラットトラックを手本に行われているはずです。ダートトラックレースを求めて海外に行く多くの選手はアメリカに行きますし、実際にAMAのアマチュアナショナルやプロスポーツクラスでレースをします。

というワケで競技の様式だけではなくて、競技を行う組織のあり方も輸入するのがいいんじゃないかと思うんですね。いやもちろん AMA だからお手本にするわけではなくて、あの文面

flattrackexpress.hatenablog.com

には組織が個として成長していくための大切な要素が含まれているからです。

詳しくはThe Holy Speedway.--ロジャーブログからどぞ。アタシなんかがここで書くことは既にロジャーブログでほぼ語り尽くされていると思います。つくばで作られる組織が他のダートトラックライダーに刺激を与えることになると思いますし、今後、別の組織のロールモデルになることを確信しています。

改めてアタシからのお願いですが、近所の方はぜひお出でになってください。特に高野さんの友達とか、友達の友達とか。あ、高野さんの友達じゃなくてもいいんですけど。

godspeed you.

ニワトリが先かタマゴがさきか

たぶんニワトリだと思いますけどね。あ、いえね、夕飯が親子丼だったんですけどね。鍋に入れるのは鶏肉だなと思ったりして。でもマルのままニワトリが丼の上にタマゴまみれになってこっちを睨んでいたらいやだなあ。ちょっとヒクなあ。

さて、つまんない枕はどうでもいいんですが、ことスポーツとしてのレースではどちらが先と言うことはなくて車の両輪なんですな。

だめだ、眠い。明日起きて書けたら書きます。

でわ。お休みなさいまし。

というわけ 
でその続き。あ、気がついたらお題が捻れてる、というか変わってる。がーん、まあいいか。かなり小人が書いているので仕方ないですな。

レースでは参加者もスタッフも欠くことのできない要素なんですが、過去の長い間多くのライダーは、アタシ出る人、主催する人は誰かやって、な状態だったんですな。最近はキャンプやスクール、そしてレースと、動きが出てきましたがもっと多くの人がレースなり走行会のスタッフをやったらいいと思いますよ。特に30才を過ぎているようなベテランのみなさんは出るのに加えてスタッフをやるってのを始めませんかね。

本来レースはライダーがやるべきなんですよ。トラックの周りの草を刈って、トラックをならして整備をして、受付して、フラッグマンやって、コーナーワーカーやって、審判やって、タイムの計測して、ラップチャート付けて、リザルト作って、次のレースのお知らせやって、プログラム作って、またトラックの整備して。乗りたいから、レースに出たいからこういうことできる訳でしょ?

今のもてぎのダートトラックレースのスタッフはベストだと思います。前にも書きましたがレースの組立やスタッフの動きが一つ一つの順序立てて考えられているように見えるんですよ。あ、まあ若干は直接聞いた部分もありますけど。それにしてもやはりプロの仕事を感じますな。それをだからこそ、今のスタッフもノウハウも失う訳にはいかないのですよ。

スタッフがどうしても来られないときにこれを代われる誰かが必要ですし、そのプロの仕事にいままで十分にいろいろ世話になってきたでしょ?たまには恩返ししてもいいでしょ?レースのタイムテーブルどうしてそういう順番になっているのか知りたいでしょ?特にエキスパートに上がって「もう、上がり、うふふん」なんて思っている方、それはやり逃げですよ。後が祟りますよ。あらかじめ挙げておきますけど、結婚したからとか、これから子供作っちゃうぞ!!!とか、子供ができたからとか、そういう理由でレースを引退するのはそろそろやめにしませんか。選手としてレースには参加できなくてもスタッフとしてならレースに参加できますよ。月一回なんですから、しかも身一つですよ。タイヤもエンジンもウエアもメンテナンスする必要なし。やる気だけですよ。

こと、もてぎに関してはいろいろ制約があるでしょうから、無理に押し掛けていっても、担当の方が困るだけなので「何かできることがありますか?○○くらいはできますけど」ってのがひとまずいいかと思いますが。

で仮にそれもかなわないなら観客としてでもいいんですよ。レースに選手として出られないから現場にも行かなーい、ってんじゃなくて近所の若いの捕まえてきて、おまえレース見れ、やれって言ってくださいよ。あ、若くなくていいんですけど。オールドタイマーでもいいですよ。最盛期から見れば、選手が半分くらいしかいないんですよ。でもレース環境は過去最高なんですからもったいないでしょ。

あ、なんか話しが発散しそうなので元に戻しますが、レースには参加者もスタッフもなくてはならない存在なんですよ。そういう訳でもう上がりだと思うライダーはスタッフになれるのか考えてみてください。そうすることで先日来挙げているいろいろな問題がかなり多く解決できますよ。そして将来レースを主催したくなったときにだって経験があるからできます。保証します。アタシは件のイベント後あちこちから後援をもらってアイスライドをいくつも主催してきました。いかがですか?レースのスタッフをやってみたくないですか?

AMAとの違い

デブリとしての転倒者が出たときの一連のルール、そう、低速走行をして転倒者の復帰が同一周回で保証されるルール、AMAにはありません。なぜか?調べても出てきません。しかし、出てこないってことは、常識的に考えてみると「まあそうか」と思います。なぜ思うのか。

この違和感、自然に備わっていると考えられている権利が制限されているからです。モーターサイクルのルールではなくて法律とか憲法とかのレベルでの話し。

ナニが侵されるのか 
転ぶとナニがいけないのかと言うと、転ぶと勝てないからです。ほんとならあっという間に周回遅れにされて復帰してもビリッケツでしかレースを終えることができません。でも、今は転んでも同一周回で復帰が保証されてますよね。なんかへん。

転んだ選手が勝つような、あるいは順位が高くなるようなレースで抱く違和感はなんなのか?それは転んでいない選手の権利が侵されているからです。転んだ選手が順位を落とすのはごく自然なことですが、低速走行で復帰が保証されている状態は転んでいない選手の権利が著しく制限され、転んだ選手の権利だけが特別優遇されているから、違和感を抱くんです。

ではどうすれば、この違和感を抱くルールを無くすことができるのか。問題はいくつかあるでしょう。思いつくところを挙げます。

それで安全が確保できるのか
参加者がそのレベルに達しているのか
転倒が発生した時にデブリのレベルを判断できるコーナーワーカーがいるのか
というわけで 
続きは後日。ちょっと忙しくて連日は更新できないかも……

大人と子供

ネタがどうしても湿っぽくなる梅雨時ですが。皆様いかがお過ごしでしょうか。じめじめしているのでビールでも飲んでスッキリしますか?アタシャ飲めないので大人の楽しみも8割知らないんですけど。

さて、レースのない休日は空気の抜けた○○○○○○のような一日を送っているのですが、気まぐれに「自転車乗りに行く?」と息子に聞いてみると「道は乗っちゃいけないんだ」なんて生意気なこと言うんですね。道じゃなきゃどこ乗るンだよ!!なんて子供相手に切れネタを披露したりしませんが、しかし30年も子供をやってないと時代は変わるものだとしみじみ感じたものです。アタシが子供の頃はどこを自転車で走っても怒られたりしませんでしたが、最近はそうでもないんですね。あ、まあ塀の上とか階段とかは怒られましたよ。塀が傷むとか、転んだら階段の角が傷むとか言われてね。そうじゃないか…乗っちゃいけないンだけど乗ってただけなのかな?

さて、この「道は乗っちゃいけない」というおふれ、小学校からの指示だそうで主に自動車との事故防止を目的にしているらしいんですね。安全と自転車を乗る自由を天秤に掛けて、安全を取ったわけですがそうすると自転車には自由には乗れない。いろいろ制限が付くんですな。まあ、まともなのは「大人と一緒ならいい」という例外措置があるおかげでその辺どころか自転車専用道路なんかをサイクリングできたりするわけです。校則からはずれることなくね。

ここからは、ここまで読んでだいたい言いたいことが分かる、察しのいい方向けに書きますが。

いつまでも、ダートトラックレースでデブリがでたら低速走行させられる、てのは、ウチの息子と同じだと思われている証拠ですよ。そうじゃなきゃ安全が確保できない。そう思われてるわけですよ。

実のところ、もうそろそろあのルールもエンジョイとかXR100以外ではいらないんじゃないかと思っていましただけど、そうでもなかったようですよ。先日のレースの話を聞く限りはね。まだいるのかもしれない。とはいえ、なぜ低速走行を強いられるのかなんてつまらないこと考える人は少ないでしょうね。そんなこと考えてもすぐに勝ちに繋がるわけじゃないから。でもそれはきちんとまわりまわって勝ちに繋がるし、ケガも少なくなるしで、いっこも悪いことがないんですけどね。

先日も書きましたが転んでると轢かれますよ。あるいは衝突しますよ。結果が悪ければ死んだり殺したりしますよ。だから転んだらできるだけ早くトラック以外の部分に待避しましょ。できれば転ばないようにしましょう。あんまり転ばなくなると声を大にして、そろそろあのルールやめませんか、って叫ぶことができるんですけどね。あ、十分でかいですか。そうですか。

AMAにあのルールがないのは、何故かは調べてますがわかりません。ただ、ひとつのキーワードで十分だろうとは思います。それについてはまた明日。

昔の話し

さて、連日というか書いているのはほぼ2日間くらいなんですが、ちょっと昔話しをしましょうか。

その昔、今はカメラメンズの一人の千葉さんとエンジョイライトウエイトでブービー賞を争い、今をときめくKINGがエンジョイミドルでアタシとじゃれてくれてた頃だから2000年とか2001年くらいの話し。

そのころのルールに「転んだら元のポジション順位に戻れる」ってのがあった。で、どうなるのか。ちょっともったいぶりましょう。

転倒天国 
そのころのデータがないので都合のよい記憶になっている可能性を否定しませんが、転んだからといって罰則はなかった。うーん、あったかもしれないけど実際に適応された選手はいなかったと思う。どうだろうか?そのころを知る、現在も現役を生き残る選手や関係者のみなさん。

ルールとしてはそういう訳で、今と違って転んだら転ぶ前の順位に戻してもらえた。そしてペナルティを課されない。今と同じなのは転ぶと黄旗が上げられてスロー走行になるところ。

この状況で転倒に対する安全マージンをゼロでレースをするとどうなるのか考えて欲しい。

なぜ安全マージンがゼロでもいいのか?それは生命や健康への配慮を欠いたとき、転倒に関するリスクはゼロになるからだ。転倒しても順位を失うこともない。転倒してもポイントを失うこともない。つまり転倒しても健康や生命を失う以外ほとんど失うものがないからだ。

もちろん接触を起こせば他の選手はその影響を受けることになる。しかし、そこに生命や健康への配慮がなかったら……。そう、やはり失うものはほとんどない。わずかに失われるのは車両の部品代くらいだ。

安全マージンゼロのレースとは?回答はおそらくあなたの想像どおりだ。

転倒リスクがゼロになったとき、転倒までのマージンを設けずに走ることができるようになる。100%持ちうる能力を使い切って運に任せてターンに飛び込んで、運が悪ければ転倒する。そして他の選手に接触する。運がよければ他の選手よりも速くターンし順位を上げることができる。なぜなら他の選手は安全マージンを設けて、持ちうる能力を全て使い切る訳ではないからだ。

現在のダートトラックレースだけを知る方には想像できるだろうか。周回毎にイエローが振られ1つのファイナルが15分にも20分にもなる状況が。本来なら長くても20秒*12周で240秒、約4分もあれば終わるレースが15分も続くのだ。リスタートしたと思うと転倒する、バタバタ選手がなぎ倒される。また元の位置に戻ってリスタートする。これが何度も続いて、本当は何週目なのか観客からはわからなくなる。そして、いつの間にかレースはフィニッシュする。

このルールが適切なのか、当時はわからなかった。どうしていいのかもわからなかった。ただ、AMAのルールにはない、と言うことだけはエライシトに教えてもらった。それでもそのときは、なぜAMAにないルールが日本にはあるのか。そのルールがなぜおかしいと感じるのか、端的に分析することはできなかった。そのときのアタシが出した答えは「転倒に作為がある場合でもこのルールでは転ばない参加者が有利転んだ参加者に不利益を受けることにならない」だったと思う。

昔話はここまで。

戻りつつあるもの 
いまはそのルールは改訂されて転んだ参加者には順位を下げるペナルティーが課せられるようになった。

だから転ばない参加者はいつでも有利だ。とはいえ制限はされるのだけど。安全マージンを残し他の選手と競うこと、それはスピードよりも安全を尊重し、自分の生命を尊重し他の参加者の生命を尊重する。

そうして、レースも、参加者も進化してファイナルレースはずいぶんときれいに終えることができるようになった。一度も低速走行を強いられずに終わるレースが多くなった。

昔話の頃から見るとずいぶんと現代的なレースだ。でもこれは本来ある姿にもどりつつあるだけに過ぎない。理想的な状態にもどるまであと少しやらなければならないことがある。

転ばない確率

いつも自分のことは棚に上げて「転んではいけない」とか言っていますが、まあいつもの世迷い言なのでお気楽に聞いてくださいな。

架空のレースを取り上げます。決勝まで上がれてそのレースで1回だけ転んだとしましょうか。結果は気にしないことにします。

そのときの転倒の確率を1回/12周としましょうか。でも1周には24回ターンがあるので1回/24回とした方が良さそうです。このときの転倒確率は

1/24、つまり0.04166

約4%となります。これを元にこのレースでの転倒しない確率、信頼度を算出します。

1-(1/24)=0.95833

つまりこの参加者は96%の確率で転倒しません。しかし実際には転倒していますからここより大きな値を取るように転倒しない確率、信頼度を上げていく必要があります。

この選手、仮にマシーンと呼ばれるようないつでも正確に同じフォームで走れるライダーだったとしましょうか。1回のファイナルレースでは24回のターンがあるので信頼度が0.95833ならば、1ターン毎の信頼度は以下のXで示されます。

0.95833=X^24 (Xの24乗)

つまり

X = 0.998228

となります。これ1000ターンを行って2回(ホントは1.7回ですけどね)しか失敗できない、そういう確率です。ほぼ完璧とも思えるような確率ですがこれをさらに向上させて1/1000の確率にしていかないと、数字上は転倒せずにレースを終えることができません。このモデルはあくまでも一つの要素の確率を求めていますが実際にはもっと多くの要素がありますから飛躍的に転倒リスクが増大するはずです。

実際にはヒトがやることですしそんな簡単には割り切れないんですけど。でも練習して、車両の整備をして、いつでも同じレベルにいろんなものを整えておかないとなかなかレースには勝てないですねえ。エイッ、ヤーじゃ勝てないですよ。

というわけで、思い出したように故障率と信頼度の教科書からネタを拾ってきましたけど、あんまり数学は得意じゃないので間違っていたら教えてください。


可視化されていない不幸の連鎖 (じゃなくてスパイラルなのか?) †
昨日のつづきから。転ぶとよくないよ、しかもよくないのは自分だけにとどまらないよ。それは回り回って自分に返ってくると言う話。

スピンしてエンストした、あるいはスピンダウンしてエンジンが止まって、そして車両と共にトラックから待避できた。これはすばらしいことだ。本人にケガが無ければ、他の参加者にも負傷者が発生せずにトラック上の障害物処理が済んだ訳だからこれ以上の処理はない。

このときに黄旗がでたとする。レース中に単独の転倒が発生すると現在のもてぎの(あるいは現在の国内ダートトラックでは)ルール運用上、ほぼ黄旗が揚がってスロー走行をすることになる。

主に初心者を対象と考えられるルールに、トラックからの待避後

再スタートする場合は、車両が破損していないかどうか、走行上危険がないかを確認の上、復帰すること。

8) フルコースコーション後、再スタートの隊列順序は以下のとおりとする。

転倒者がいた場合 以下1 ~ 3 の順に並ぶものとする。
フルコースコーションとなったとき、周回数として有効な最後の周の順位から、フルコースコーションの原因を誘発したライダー、および転倒者を除いた順。
転倒者。複数いた場合は競技監督がその順序を指示する。
フルコースコーションの原因を誘発したライダー。複数いた場合は競技監督がその順序を指示する。

 

ってのがあるのだが、これは転倒した参加者に重心があるんじゃないか、転倒した参加者が優先されているのでは?と思った。というのはその他の部分ではおおよそ速い参加者に優先権があるが、ここだけ転倒した参加者に優先権があるように思えるから。

 

結果 速い参加者 転倒した参加者
ヒートレースグリッド ×
ファイナルグリッド ×


上の表は○が優先される方を、×は優先されない方を示している。優先とは選択権があるまたは有利な条件、非優先とは選択権に制限があるまたは不利な条件と考えてほしい。実際のレースでの感じ方と大きな差はないと思いうがいかがだろうか?

ところが一旦転んでしまうとそれまで積み上げた速い参加者のタイムやポジションよりも転んだ参加者の復帰が優先となる。

 

結果 速い参加者 転倒した参加者
ヒートレースグリッド ×
ファイナルグリッド ×
継続中のレースでの転倒 ×


あくまでも、転倒者がデブリにならず、すぐに復帰できる状態に限るが。転倒者にはレース復帰が認められるがその他の参加者には得るところがない。にもかかわらず非転倒者の有利な状況は制限されてごくわずかなアドバンテージ以外認めらない。同じ事象での比較ではないので一概に等しく比べられるものではないが、転倒が発生しなければ全ての参加者の状態が制限されることはないと考えると、転倒した参加者のために他の参加者が制限を受けるのは、このルールが転倒した参加者に重心が近いように思える。それが上の表に表したものだ。この表、優先される対象が捻れていないだろうか。

4輪のレースでコース上のデブリを除去する間、最低限の低速走行をさせるのはドライバーの安全とゴミや油を除去する作業者の安全を天秤に掛けて見つけたバランスだと思う。タイヤの温度を極力下げずリスタートに備えることで事故率を減らし、かつトラック上の作業も安全に行える。

翻ってダートトラックにはタイヤの温度はあまり関係ない。もともとタイヤの温度は低いままスタートする。だから低速走行を続ける理由はないと言える。

ダートトラックではデブリが発生して数秒でどちらかの処置が執られる。

次の周回には支障がないので黄旗を出して低速走行させる
次の周回に支障があるので赤旗を出してレースを中断する
つまり、ダートトラックでの低速走行時はトラック上にレース続行上支障はない。唯一の理由と考えられるのは、安全に転倒者を復帰させるためだ。初心者なのでせっかくレースに出ているんだし復帰させてやりたい、と思うのはルールの作成者ばかりではなくてアタシも同じだが、しかしこのルール、転倒した参加者が復帰しても最後までレースを走りきる以外になにも得るところがない。リザルトにDNFとつかないだけだ。

いやいや、他にも理由があるだろ、オマエに教えてやっただろう?と言う声もあるだろう。そう。エライシトに教えてもらった。転倒した選手とその他走行中の選手の安全を確保するためだ、ったと思う。その時は、まあそうか、と思ったが、今になってみれば、そうでもないかと思ってみたり。というのも転倒したライダーを避けるために低速走行するような状況ってよほどひどいんだと思う。転倒の瞬間、後続の選手が避けることができればそのあとの選手は避けるだろう。その後10秒程度でトラックから待避できなければその時はレースの中断が妥当なはずだ。トラック上に競技が続行できないほどの除去されない支障が発生した訳だから。

ではこの転んでも安全に復帰できるルール、いらないのか?というと、これはこれで秀逸なんであってしかるべしとも思う。ただし選手権でなく、過去の呼び名で言えばエンジョイクラスならばだが。

選手権ってのは、最も優れた選手に与えられる資格で具体的には表彰台のてっぺんに立ってトロフィーをもらったりする資格のこと。多くの選手権大会(競技会)は機会の均等を計った上で優れた選手を優遇するようデザインされている。なぜか?優れた成績を残すにはそれだけのコストが掛かることを競技会のデザイナーは知っているからだ。練習を繰り返し、道具に手を入れ準備を整える選手が安定して優れた成績を残せるからこそ優遇されるのだ。ダートトラックレースでもこれは変わらない。タイムアタックやタイムドプラクティスでの成績はヒートレースのグリッド選択権を有利にする。同様にヒートレースの成績はファイナルのグリッド選択権を有利にする。これがすべてではないがダートトラックレースも一定の方向性を持ってデザインされていることが示される。

ところが転倒が発生した途端、転倒もせずに競技を続けていた選手達はそれまで積み重ねた準備を否定されてしまう。

仮に転倒者が出ても、競技に支障がでなければ続行することとなると転倒者以外の利益は全く阻害されない。

どちらが転倒しないように気をつけて競技に臨むものに対して有利だろうか。

アタシは転倒が発生してもできるだけ競技を続行するべきだと考える。それが転倒せずに競技をする、優勝する可能性を持つ選手の利益になるからだ。低速走行を行う理由はダートトラックレースには見いだせない。もし安全が確保できなければ競技を中断すればよい。

そのスパイラル 
そして、この転倒者を安全に復帰させる一連のルールには、転倒後復帰が保証される一方で転倒も許される、ということが問題だと考えている。復帰が保証されているから転べるのだ。転倒やエンジンストールして瞬時に復帰できるだろうか?復帰できたとしてもレースは進行して5秒なり10秒進んでいくのだ。フィニッシュまでにバックマーカーが出るか出ないかで競っているレースで約半周、10秒もの遅れを取り戻し先頭に追いつくことができるだろうか?

転倒するライダーもレースを続けているうちに優勝したくなるだろう。技術を向上させ優勝が見えてきたとき、それをじゃまするのはやはり転倒するライダーなのだ。せっかく転倒しないようになっても過去の自分に呪われ続けることになる。転倒後の復帰を保証し続ける限り転倒も許容されてしまうから、転倒に抵抗のないライダーにとっては転倒はダートトラックを競う上でのリスクにはならない。

先頭のライダーと比べるからわかりにくいのだろうか?では最後尾のライダーと比較してみよう。

転倒したライダーがトラックから待避して復帰の準備を整えている間に走行を継続する最後尾のライダーが周回を重ねてしまう場合、転倒したライダーと転倒せずに最後尾を走るライダーのどちらが優れたライダーだろう?現在のルールでは低速走行の上、先頭からの距離は30m程度、最後尾の直後に同じ周回数から復帰できることが保証されている。転ばないように丁寧に走るライダーと転倒後に復帰してくるライダーの差はわずか1車長程度でしかなくなる。その後復帰したライダーが1つでも2つでも順位を上げてフィニッシュしたとしよう。転倒しなかったライダーは最後尾でフィニッシュする訳だが、その価値は転倒したライダーよりも低いのだろうか?

転倒後20秒以内に復帰できなければ、通常確実に周回遅れになる。しかし現在のルール上はならない。このルール問題がないと言い切れるだろうか?

どうして今こんなことを書いているのだろうか? 
今こんなことを書いているのは、ここしばらくそんなことを気にも掛けなかったからだ。「転んではいけない」なんておちゃらけてれば十分だった。ちょっと気の利いたふうなことを書いていればたまにはフォロワーがいてちやほやされる。先日のレースで発生した赤旗の内容を聞いて、いろいろ思い出してしまった。今抱いている危機感は何年もくすぶっていた問題に火をつけてしまった。

ここ2、3シーズンのもてぎで行われるダートトラックレースはとても進化してきた。天候には恵まれないことが多かったけどそれを補ってあまりある競技運営が行われてきた。実に考え抜かれた、それまでの競技運営とは一線を画す文句の付けようのない緻密な運営。例を挙げれば散水という作業、人員配置、クラス毎の走行スケジュールと散水タイミングの組み合わせ、散水量、レースの度に安定した作業が維持されてきた。ひどい砂塵に顔をしかめたことはないはずだ。それは綿密な計画とその実施を支える人的資産を維持している証だ。それから、状況に応じた受付オプション、トラックの整備、余裕を持った年間計画と雨天の延期決定、どれも整然と行われてため息が出るほどだ。個人的な感想だけど、もてぎのダートトラックレースはいままでで最も恵まれた環境でレースが行われていると思う。思う、というのは2000年以前は知らないから。

あまりにも理想的な競技運営に惚けてしまった。そのために以前にあった問題を忘れてしまったのかもしれない。

ダートトラックは生涯現役時間が他の競技に比べて長い。古い車体でも勝てるし体力や資金力にも成績は大きく左右されない。それはトラックの表面が滑りやすく、レース時間が短いために経験や知識が成績に大きく影響する競技だからだ。勝ちを急ぐ必要はない。努力し続けると歳をとっても成績が伸びる競技なのだ。だから、転んではいけない。転倒は自分の生命を危険に曝すことだ。そして同じレースを走る人の生命を危険に曝すことだ。レースで転ばないこと、トラック上で止まらないことはとても価値あることだと思って欲しい。

今後、転倒や事故が多発しレース開催を一時中止するような事態が発生すると、現在の運営体制は雲散して二度と構成することはできないだろう。この体制を手放すわけにはいかないのだ。

追記 
だから、できるだけ転倒させないような仕組みが必要だ。転倒後復帰はできても最後尾から追い上げることすらできないと思えば転倒できなくなる。転倒を前提にターンに飛び込むのはまさに一か八かの賭になる。しかしそれでは安定して成績を残すことはできないのだ。

こんなことを書くのは前回のルール改正からしばらく経って十分にエントラントの意識が育ったからだと思う。もっといいレースが見たいと思えるようになったからだ。

だから、先日のレースの内容を聞くに付けあのころのいやなニオイを鼻の奥に感じざるを得なかった。多くのライダーは転倒に対する意識を向上させ、転倒や接触が原因の転倒を防ぐような努力を続けてきた。ライダー個人の成長はレースそのものの成長にも影響する。これを逆に退行させるようなことをしてはもったいない。もう一段、階段を上ってもいいときがきている。

不幸を小さなままに留めるために

主にダートトラックレースを始めたばかりの方へ。

レースを見ていて不幸だなあと思う瞬間はレース中断の旗が揚がる時、あの赤色の旗や信号が点るその瞬間。あれはいつ見ても、どんな事情があっても、ウヘー、イヤだな、と後味が悪くなるものです。

イヤだなと思う理由のひとつは、レースが中断するにはそれなりの理由がある訳ですが、本来中断しなくてもいいはずなのに中断されてしまうことがあるから。

レースの中断は、参加者の安全が確保できなくなることで発生する訳ですが、主な理由は参加している選手や車両がトラック上に停止しているから。転倒後負傷した選手やマシンは仕方ないんですよ。これはもう自力で動くことはできないんですから。フラッグマンやコーナーワーカーが出てきて救助や移動するかないんです。不幸なことだけど仕方がない。レースですからね。普段よりがんばってる訳だから自分が考えているより安全マージンを削ってしまうことが多くて、何かのきっかけで転倒に至ってしまう。安全マージンを削って走るってのは決していいことじゃないですけど、自分の精神状態まで制御できていれば滅多に転ばない。その後成長して自重できるようになっていくのだから、転倒するのは成長の過程ということで仕方ない。転倒したら自分では動けないとか、動くとやばそうだと思ったら動かない方がいい。脳しんとうでも起こして覚醒していない状態でふらふらとトラックを彷徨うくらいならそのまま動かない方がいい。二次災害が防げるから。でもそんなに明確に判断できるならふらふらとトラック上を彷徨ったりしないでしょうけど。

小さな不幸が大きくなる要素 

ウヘーと思うのは、トラック上から待避できるのにしない参加者が原因でレースが中断するときです。スピンが原因でエンストしたりして、その場でエンジンを掛けたくなっちゃう。で、トラックの真ん中でスターターを蹴ったりして。フラッグマンは当然赤旗を揚げますよ。参加者の安全とレースの進行を確保するのがフラッグマンの使命ですからもうこれは当たり前の行動で非の打ちようがない。問題なのはトラック上に停止している参加者ですな。いろいろ危険なんですよ。まず止まっている本人が危険。当然です。このままあと20秒もすれば確実に次の周回のライダーに接触することになりますから。へたすりゃ死にますよ。そして同様に他の参加者が危険に曝される。

というわけでスピンしてエンジンがストールしたなら潔くトラックから待避しましょう。レースのルールにもありますが罰則があるからこれに従うってのは半分間違いです。規則にある制限事項は最低限守らないといろいろ不幸になるから条文化しているだけでそれには相応の理由があるからです。これはファイナルレースだけの話じゃなくてヒートレースでも、一般のスポーツ走行でも同じです。トラック上でスターターを操作するってのはそのぶん危険を積み増すだけです。

くどいんですけど、トラック上で立ち止まっていて後ろから来る参加者がそこに衝突して死んでしまったら責任の取りようがないですよ。だからできるだけ早くトラックから待避してください。もしも車両を動かせない状態ならフラッグマンがレースを中断させて安全を確保してから車両を移動しますから、本人だけでもトラックから待避してください。

可視化されていない不幸の連鎖 
スピンしてエンストした、あるいはスピンダウンしてエンジンが止まって、そして車両と共にトラックから待避できた。これはすばらしいことですよ。本人にケガが無ければ、他の参加者にも負傷者が発生せずにトラック上の障害物処理が済んだ訳ですからこれ以上の処理はないんです。

ところが影響がないわけじゃないんですよ。

というわけで続きはあした。

2008もてぎダートトラックレース特別規則書

第25 条走行の際の遵守事項

8) 転倒、ストップした場合は、二次事故が起こらないように十分注意して行動し、できる限り速やかに、トラック外などの安全な場所へ移動を試みること。トラック上から速やかに退避しなかった場合、罰則(ペナルティー)を科する場合がある。再スタートする場合は、車両が破損していないかどうか、走行上危険がないかを確認の上、復帰すること。ただしエキスパートジュニア各クラス、およびエキスパート各クラスについては競技監督の判断により、レース復帰を認めない場合がある。