不幸を小さなままに留めるために

主にダートトラックレースを始めたばかりの方へ。

レースを見ていて不幸だなあと思う瞬間はレース中断の旗が揚がる時、あの赤色の旗や信号が点るその瞬間。あれはいつ見ても、どんな事情があっても、ウヘー、イヤだな、と後味が悪くなるものです。

イヤだなと思う理由のひとつは、レースが中断するにはそれなりの理由がある訳ですが、本来中断しなくてもいいはずなのに中断されてしまうことがあるから。

レースの中断は、参加者の安全が確保できなくなることで発生する訳ですが、主な理由は参加している選手や車両がトラック上に停止しているから。転倒後負傷した選手やマシンは仕方ないんですよ。これはもう自力で動くことはできないんですから。フラッグマンやコーナーワーカーが出てきて救助や移動するかないんです。不幸なことだけど仕方がない。レースですからね。普段よりがんばってる訳だから自分が考えているより安全マージンを削ってしまうことが多くて、何かのきっかけで転倒に至ってしまう。安全マージンを削って走るってのは決していいことじゃないですけど、自分の精神状態まで制御できていれば滅多に転ばない。その後成長して自重できるようになっていくのだから、転倒するのは成長の過程ということで仕方ない。転倒したら自分では動けないとか、動くとやばそうだと思ったら動かない方がいい。脳しんとうでも起こして覚醒していない状態でふらふらとトラックを彷徨うくらいならそのまま動かない方がいい。二次災害が防げるから。でもそんなに明確に判断できるならふらふらとトラック上を彷徨ったりしないでしょうけど。

小さな不幸が大きくなる要素 

ウヘーと思うのは、トラック上から待避できるのにしない参加者が原因でレースが中断するときです。スピンが原因でエンストしたりして、その場でエンジンを掛けたくなっちゃう。で、トラックの真ん中でスターターを蹴ったりして。フラッグマンは当然赤旗を揚げますよ。参加者の安全とレースの進行を確保するのがフラッグマンの使命ですからもうこれは当たり前の行動で非の打ちようがない。問題なのはトラック上に停止している参加者ですな。いろいろ危険なんですよ。まず止まっている本人が危険。当然です。このままあと20秒もすれば確実に次の周回のライダーに接触することになりますから。へたすりゃ死にますよ。そして同様に他の参加者が危険に曝される。

というわけでスピンしてエンジンがストールしたなら潔くトラックから待避しましょう。レースのルールにもありますが罰則があるからこれに従うってのは半分間違いです。規則にある制限事項は最低限守らないといろいろ不幸になるから条文化しているだけでそれには相応の理由があるからです。これはファイナルレースだけの話じゃなくてヒートレースでも、一般のスポーツ走行でも同じです。トラック上でスターターを操作するってのはそのぶん危険を積み増すだけです。

くどいんですけど、トラック上で立ち止まっていて後ろから来る参加者がそこに衝突して死んでしまったら責任の取りようがないですよ。だからできるだけ早くトラックから待避してください。もしも車両を動かせない状態ならフラッグマンがレースを中断させて安全を確保してから車両を移動しますから、本人だけでもトラックから待避してください。

可視化されていない不幸の連鎖 
スピンしてエンストした、あるいはスピンダウンしてエンジンが止まって、そして車両と共にトラックから待避できた。これはすばらしいことですよ。本人にケガが無ければ、他の参加者にも負傷者が発生せずにトラック上の障害物処理が済んだ訳ですからこれ以上の処理はないんです。

ところが影響がないわけじゃないんですよ。

というわけで続きはあした。

2008もてぎダートトラックレース特別規則書

第25 条走行の際の遵守事項

8) 転倒、ストップした場合は、二次事故が起こらないように十分注意して行動し、できる限り速やかに、トラック外などの安全な場所へ移動を試みること。トラック上から速やかに退避しなかった場合、罰則(ペナルティー)を科する場合がある。再スタートする場合は、車両が破損していないかどうか、走行上危険がないかを確認の上、復帰すること。ただしエキスパートジュニア各クラス、およびエキスパート各クラスについては競技監督の判断により、レース復帰を認めない場合がある。