転ばない

救済措置としての残り1戦が予定されているWranglerもてぎダートトラックレース。今シーズンの予定はすでに完了していて、1戦のみが開催されただけだった。いずれもレインドアウト。

雨で中止が続くといらいらする。反面、エキジビションには毎回行くことができてすっきりしたエキジビションレースをみることが多かった。エキジビションだから出てくる選手はみなエキスパートライダー達。滅多に転ばないし、Jローカルなパレードラップもほとんど見ない。

走りがスムーズだから、転びそうにないから、ハラハラしないから面白くない、ということはなくて、ジワジワとターン毎に前の選手を追い込む姿、ターンに入っても2ワイドで走るライダーを見ると、興奮せずにはいられない。全く個人的な好みを挙げれば競り合いこそがレースの華だと思う。背景にはよくグルーミングされたトラックや、技術が向上したライダー達が難しい路面になっても安全マージンを残しスムーズな走りを心がけていることにある。

転ばない、ってことはレースにおける勝因の一つだし何よりも安全。自分の体にも他の選手も体にも優しい。転んではいけないということではなくて、練習の時に自分を追い込んで転ぶのはよろしいかと。周りに誰もいないことを確認して新しい領域に踏み込んでいく。うまくいけば先が見えるだろうし、ダメなら転ぶだけ。もちろん転ぶだけの理由があって転ぶのだけど。練習でも転ぶ確立が高ければ、レース本番でも同じでなかなか精度良く決まらない。

レース中の転倒を極言してしまえば、それは練習ではなくてレースだと言うこと。レース中はワケがわからなくなるくらい興奮するものだし、先にいる人が転ばないことを前提に走っているからレースで転べば練習よりも突っ込まれる確立は高くなる。転ぶ、転ばないってのは自分の命にも他の選手の命にも関わる重要な分岐点だから転ぶことを、転ぶかもしれない行為に及ぶことを簡単に選んではいけない。

あと1戦残されたレースで誰も転ばないレースができたら画期的なんじゃないかな。ライダーが安全にもちっと気を配ればできるはず。その要因に環境がない、とは言わないけど、最終的にはライダーの選択でしかないのだから。