昇格とは?

昇格って何でしょうか。日本人特有の習い事コスト認定制度じゃないか?なんて意見もありますが、紋切りな意見はさておいてダートトラックについて考えてみましょう。AMAのアマチュアローカルでは、誰でもどのクラスにでも出れるようです。つまり自己責任なんでしょうな。誰かにお墨付きを得るのではなくて勝っても負けてもそれが実力、本人の責任なのでしょう。実はその前のディストリクトに所属する前にはロバート法的な儀式があって、あれはアレで向こうっぽいと感じるんですが。その辺はまた今度。え?それもかなりローカルなんでしょうか?

翻って国内で昇格すると何かいいことがあるのかと言うと、もてぎのルール的には400mトラックをレースで走れるとか450なエンジンを回せるとかあるわけです。非常に表面的な事柄だけ挙げますが。誰が昇格するのかというと開催クラスに3を掛けた人数で上位から昇格の権利を得ますな。つまり4位以下は同程度に腕がよくても上がりにくい(上がれないワケではないんでしょうけどムツカシイ)わけで、そこはデジタルに処理してるようです。

上がれなかったからといって上がれた人との差が天と地ほどもあるかと言うと、まあそういう事でもないんですね。だからといって何となく上げてしまうんではルールの価値がないのでその辺は特別なジジョーで勘案するのでしょう。

で、昇格とは何なのか?ナニがいいのか?ライダーにとってナニが利点なのか?

システムから言えば昇格するライダーを絞ることで技術の習得や伝播が加速するのだろうと思います。野放しに出たいレースに出させて、ルールや言外の習慣を得ずに走られるといろいろと問題も多いでしょう。レースの結果という客観的なデータでライダーの成長を計ることを示しておくと気が付く人は伸びる、気が付かない人はそのまま、で、結果伸びる可能性のある人の成長を加速するのでしょう。

ライダーにとっての利点も全く同じです。ただうまくないライダーは、あるいはシステムに特化できないライダーはいつまでたっても利点を享受できずに苦しむことになりますが、それもまた上がってしまったライダーにとっては利点であることも事実です。

昇格というシステム、少ない競技人口の日本人ダートトラックライダーがAMAで成績を残す要因の一つではないかと考えています。

さて、よりAMAのルールに近くなった今シーズン、ライダーに求められている事は?

転ばない

救済措置としての残り1戦が予定されているWranglerもてぎダートトラックレース。今シーズンの予定はすでに完了していて、1戦のみが開催されただけだった。いずれもレインドアウト。

雨で中止が続くといらいらする。反面、エキジビションには毎回行くことができてすっきりしたエキジビションレースをみることが多かった。エキジビションだから出てくる選手はみなエキスパートライダー達。滅多に転ばないし、Jローカルなパレードラップもほとんど見ない。

走りがスムーズだから、転びそうにないから、ハラハラしないから面白くない、ということはなくて、ジワジワとターン毎に前の選手を追い込む姿、ターンに入っても2ワイドで走るライダーを見ると、興奮せずにはいられない。全く個人的な好みを挙げれば競り合いこそがレースの華だと思う。背景にはよくグルーミングされたトラックや、技術が向上したライダー達が難しい路面になっても安全マージンを残しスムーズな走りを心がけていることにある。

転ばない、ってことはレースにおける勝因の一つだし何よりも安全。自分の体にも他の選手も体にも優しい。転んではいけないということではなくて、練習の時に自分を追い込んで転ぶのはよろしいかと。周りに誰もいないことを確認して新しい領域に踏み込んでいく。うまくいけば先が見えるだろうし、ダメなら転ぶだけ。もちろん転ぶだけの理由があって転ぶのだけど。練習でも転ぶ確立が高ければ、レース本番でも同じでなかなか精度良く決まらない。

レース中の転倒を極言してしまえば、それは練習ではなくてレースだと言うこと。レース中はワケがわからなくなるくらい興奮するものだし、先にいる人が転ばないことを前提に走っているからレースで転べば練習よりも突っ込まれる確立は高くなる。転ぶ、転ばないってのは自分の命にも他の選手の命にも関わる重要な分岐点だから転ぶことを、転ぶかもしれない行為に及ぶことを簡単に選んではいけない。

あと1戦残されたレースで誰も転ばないレースができたら画期的なんじゃないかな。ライダーが安全にもちっと気を配ればできるはず。その要因に環境がない、とは言わないけど、最終的にはライダーの選択でしかないのだから。