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松本兄とアリーさんの攻防

0810191565www.flickr.com

この状態で約3周、兄はアリーさんのインにプレッシャーを与え続けたんですな。ナニしろ前も横も制限されているのでこれ以上はらむことも前に出ることも許されない。接触してしまえば転倒してしまうこともあるわけで。そうやって6回、イン側からのプレッシャーでアリーさんを攻め続けた兄はついに4ターン立ち上がりでアリーさんをアウトによせ、ストレートで並ぶと7回目のアタックで1ターンインの奪取を決めることになります。

ダートトラックだから接触はアタリマエなんて意見もあるんでしょうけど、接触なしに抜くこともできるいい例です。兄がアリーさんのラインに活路を見つけてねばり強くプレッシャーをかけ続ける、接触することも離されることもなく進入時はぴったりと横に付け続ける。長い時間多くの回数、先行するライダーに合わせてラインとスピード、車体の姿勢を制御し続けることは簡単じゃありません。それだけにすばらしいレースでした。

二幅、三幅 
先頭を走るライダーは自分のスタイルで自分のラインを走れば一番良いわけですが、二番目以降のライダーが前にいるライダーを抜くにはそれなりに条件が整わないことには、気持ちだけ速くても叶いません。

絶対的な条件として前を行くライダーよりも速いこと。どんなに抜きたい気持ちが強くてもバイクとライダーが総合して前を行くライダーよりも速くなくては抜くことができません。

そしてダートトラックってのはイン側をきちんと締められるととても抜きにくい。だからいくら速くても抜けないことがあります。相手のラインをずらすには相手に合わせてターンの前に位置取りをする必要があります。ロードレースのように後輪出力が大きくて路面のミューが高ければラインをクロスさせて、なんて事もやりやすいのですが、ダートトラックの、殊にXR100ではそうも行きません。一車長も後に行ってしまうと取り返すのが大変でなかなか思った位置取りができない。ダートトラックレースの場合追い抜きの先行動作として、内側の位置取りをすべくツーワイド、スリーワイド(200mトラックのXR100だとないか)てなことになるんですな。

ツーワイド、スリーワイドってのはお互いに技術があって信頼関係が築けていないと成立しないんです。いつでも後ろから来るライダーの衝突に気を遣っていられますか?

並んでからの接触ってのはの路面状況や向き換えのタイミングで起こるから仕方ないんですが、これがラインが違うとかスピードが違うとかだと、接触じゃなくて衝突になっちゃう。後から行くライダーは前を見てタイミングをとっているからいいようなものでしょうけど、先行するライダーには衝突のタイミングも向きもわからないんですから、想定外の方向に車体を振られると転倒に繋がりますよ。

ターンへの進入で、ストレートへの立ち上がりでスライドすることで向き換えとスピードを変化させているその瞬間に他のライダーからの衝突に備えるなんてことできますか。仮にハンドルやフロントタイヤを引っかけられたら、車体のど真ん中にフロントタイヤを突っ込まれたら、それでもそのままで走り続けられます?もしそれを要求されるようだと普通のヒトは一歩引きますよ。

反対に、追い上げていくライダーにとっても、意図しない接触はそれ以上に危険な状態を作り出します。進入での速度やラインを前走者に合わせずに突っ込んでいくと、大方フロントタイヤを前走者のリアタイヤや車体に接触させることでステアリングのコントロールを失うことになります。この後は転倒へのステップを踏むことになるわけで、いいことはなにもありません。かろうじて転ばなくてもスピードを落としていたりしてレース的にはぐだぐだになりますな。

そうそう、こうやってツーワイドでのレースが頻繁に行われるのも安定した路面を作ってくれるもてぎのスタッフがいるからです。もしも荒れた路面だとお互いにどこに飛ばされるかわからないから距離を取らざるを得ないでしょ。もてぎみたいに天候の不安定なところであの路面を維持するってのはかなり難しいんだと思いますよ。アタシはしばらくやってないので偉そうなこと言えませんけど。

そういうわけで接触無しでもレースは成立します、って話です。